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 ユーロビートの基礎知識

 このコラムは、ブログにてやっていた『ユーロビートの基礎知識』を、
 此処で保存しておく事にしたものです。
 なお、まとめておくに当たって、元記事の間違いを加筆訂正しました(8月14日にさらに修正)。

 ユーロビートとは?
 ユーロビートの歴史
 現在活動中のユーロビートレーベル
 和製ユーロとJ-EUROについて
 初心者が聞き間違いやすいジャンルの楽曲
 参考サイト
 注釈の解説
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 ユーロビートとは?

 ユーロビートとは、若年層(10代〜20代前半)の間で、よく親しまれている楽曲です。数年おきにブームになったり、冬の時代になったり、という事を繰 り返しながら、何気に歴史の長いジャンルの楽曲です。
 ユーロビートというのはその名前の通り「ヨーロッパで作られた楽曲」という意味で、もともとはハイエナジーやイタロディスコ、ジャーマンディスコなどの 総称として扱われていましたが(「ユーロビートの歴史」参照)、歴史を追うにしたがって、今ではそう言った楽曲群とはまるで違うジャンルの楽曲となってい ます。
 楽曲の特徴としては、

 ○ シンセサイザーを主に使った楽曲構成(打ち込みと言われる奴です)。最近ではギターも良く使われている。
 ○ 楽曲のテンポが速い(BPM※1にして140〜160くらいの、4分打ち16ビー ト)。
 ○ 疾走感があり、どこか泣けてくるような音使いが多い。

 といったところでしょうか。
 現在のユーロビートの状況に眼を向けますと、日本に『ユーロビート』として紹介される楽曲のほぼ全てが、イタリアにある7つのレーベル※ 2によって、作られています。
 具体的に言いますと、『TIME』『BOOM BOOM BEAT』『A-BEAT C』『HI-NRG ATTACK』『DELTA』『VIBRATION』『SCP』というレーベルが、その7つです(設立順)。それぞれ、楽曲の個性があり、聞き比べるとか なり面白いです。

 因みに現時点で、日本に送られてくるユーロビートの内、『BOOM BOOM BEAT』以外の6レーベルは、全てavex社の『SUPER EURO BEAT』シリーズで独占しています。因みに『BOOM BOOM BEAT』の楽曲は、インディーズレコード会社である、FARM社から出ています。
(注)SEB161から『BOOM BOOM BEAT』もSEBに楽曲提供をすることになったそうです。なお、これまでSEBに楽曲提供をしていた『VIBRATION』については、SEBのほうで 楽曲が在庫切れの状態になっているそうなどで、おそらくしばらくは、SEBに入ることは無い……と思います。

 最近のファン層は、主にパラパラを踊る音楽としての『パラリスト』と、『頭文字D』や『JGTC』などでユーロビートを知り、ドライヴに最適だとする 『ドライビング・ミュージックとしてのリスナー』、そして、『純粋に音楽として楽しむリスナー』の三種類に分類できます。
 また、製作者サイドもそれを意識しているようで、それぞれファン層を絞った楽曲が出てきていて、結構楽しいです。その点を聞き分けるのも、通な楽しみ方 と言えるでしょう。

 ユーロビートの歴史

 ユーロビートのご先祖を辿ると、70年代中盤から後半にかけてドイツで流行した『ミュンヘンサウンド』に行き着きます。元々はパリやハンブルグなどのゲ イ・ディスコの常連達に好まれた楽曲群で、80年代初頭、これがイギリスに渡り『ボーイズタウン・ディスコ』と呼ばれ始めた頃、イギリスの音楽雑誌『レ コード・ミラー』誌(現在は廃刊)が『ボーイズタウン・チャート』として、そう言った楽曲ばかりを集めたチャートを作りました。
 これがゲイの間だけではなく、世間一般に認知されるようになると、レコード・ミラーは、ボーイズタウンチャートを『ハイエナジー・チャート』に名称変更 し、これが発火点となり、『ハイエナジー』という言い方がイギリスで定着していきました。
 日本に広まったのは、80年代半ば、ハイエナジーが全世界的に猛威を振るった頃でした。それに応じて、日本ではアルファレ コード(倒産)が、「That's Hi-NRG」というコンピレーションシリーズを出しました。このシリーズは当初『欧州で最もナウな(死語)音楽を』というコンセプトの元で作られまし た。
 しかしこの頃になると、この『ハイエナジー』チャートという言い方が、現実とは少々かけ離れたものになりつつありました、というのも、この『ハイエナ ジー』チャートには、単にハイエナジーだけではなく、イタロディスコやジャーマンディスコなど、一般的に『ハイエナジー』では括れないジャンルが、多数 ランキングに入っていたからです。と言うわけで、レコード・ミラーは「これはもうハイエナジーではない」とし、ハイエナジー・チャートを「ヨーロッパで作 られた楽曲のチャート」という意味で『ユー ロビート・チャート』と名称変更してしまいます。
 それに応じるような形で、前出の「That's Hi-NRG」は、「That's EUROBEAT(以下That'sに統一)」と名称変更しました。ところがこの『ユーロビート』という言い方の何が気にくわなかたのか、レコード・ミ ラーはユーロビート・チャートをまたハイエナジー・チャートに戻してしまいます。
 しかし日本では、この「That's」シリーズが、思いのほか大ヒットします。その事によってアルファレコードは『今更元に戻せない』と言う事になった ため、日本で『ユーロビート』という呼び方が定着してしまったわけです。

 当初こそThat'sシリーズは、欧州で流行したハイエナジー/ユーロビートを主に収録していましたが、気が付けば80年代後半に差し掛かり、既にユー ロビートのブーム は日本だけになっていました。それにいち早く気付いたのが、イタリアのSAIFAMというレコード会社で、傘下レーベルであるASIA RECORDから、BOOM BOOM DALLER / KING KONG & D'JUNGLE GIRLSという、日本で受けることだけを意識した楽曲を作り、これが爆発的に大ヒットしたことで、日本だけの独自の「ユーロビートブーム」が出来上 がったのです。
 それ以降は主に、日本での受けを狙ったユーロビートが、主にイタリアから輸入されるようになりました。

 90年代に入り、とうとう日本でもユーロビートブームが下火になってきた頃、当時は単なる輸入レコード専門店だったavex trax(以下@社)が、社運を賭けた大博打に出ます。それは、自社オリジナルのコンピレーションCDを出す事でした。
 そのために社長と専務がイタリアに飛び、そこで、Alephとして活動していたジャンカルロ・パスキーニ(Dave Rodgers)と出会います。
 彼が所属していたレコード会社である「TIME」との関係が思わしくなかった事から、彼の独立を支援する形で、10年契約をする事になりました。これに よって、ユーロビートとロックを専門としたレコード会社「RODGERS & CONTINI」が生まれ、その傘下にユーロビート専門の「A-BEAT C」というレーベルが興りました。
 そして@社から、このレーベルを主体にした「SUPER EUROBEAT(以下SEB)」が生まれました。このシリーズは現在までも続く、世界最長のコンピレーションCDとなっています。
 因みにこのシリーズ、ユーロビート冬の時代にあっても、また、売れなくなっても出しつづけた実績からか、殆どのレーベルが、このシリーズと契約を結んで います。

 因みに現在では、このユーロビート人気は日本のみならず、韓国、中国、台湾、ヨーロッパ、果てはアメリカまで浸透しています。アメリカでもパラパラのイ ヴェントがあったりするらしいですし、また、英語で書かれたユーロビート・ファンサイトも無数にあるほどです。


 現在活動中のユーロビート レーベル

 ◆ TIME RECORDS(TIME RECORDS)

 元々はDISCOMAGICという、ハイエナジーやイタロダンスを出版していた会社のユーロビート部門であったのですが、TIMEのレーベル責任者で あったジャコモ・マイオリーニが、親会社である DISCOMAGICの経営危機を知り、独立したレコード会社となったのがこのレーベルです。一説によればこの際、 DISCOMAGIC社の持っていた楽曲の版権をTIMEに移す作業で、当時の社員全員が死ぬほど頑張ったとか。
 因みに、元々の親会社だったDISCOMAGICは、現在でも名前を変えて頑張っているらしいのですが、その詳細は不明です。
 このレーベルを語る際に、絶対に忘れてはいけない事の一つに上げられるのが『殆どのユーロビートのプロデューサーやライターは、このレーベルでの活動を 経験している』と言う事です。
 BOOM BOOM BEATのマウロ・ファリーナ、A-BEAT Cのジャンカルロ・パスキーニ(デイヴ・ロジャース)、DELTAのローラン・G・ニューフィールド、クララ・モローニ、HI-NRG ATTACKのアカティーノとリモンティ、VIBRATIONのマーカントニオ、SCPのカスターニャなど、数え上げればきりがありません。
 言い換えれば、このレーベルの問題点でもある……という事にもなるんですが……(このレーベルに定着する人が少ないとも言えるので)。

 現在のプロデューサーさんは、イタリア一の量産男と言われる、セルジオ・ダローラ。それにアーティスティック・プロデューサーという立場のルカ・ディ ガーニの二人が、主なプロデューサーであり、ライターです。因みに、必ずクレジットされているジャコモ・マイオリーニ氏ですが、彼は一応経営者兼現場監督 という立 場で、楽曲の製作を実際に担当することは殆ど無いといわれています。

 現在のこのレーベルの出す楽曲の特徴としては、『軽めの音』と『とにかく泣ける哀愁』傾向です。
 どちらかと言えば高速志向。最近の楽曲で、BPM150未満と言う事は、殆どありません。
 また、さすがにこのレーベルは極めて歴史が長い&規模がでかいだけあって、他ジャンルの楽曲等にも積極的です。日本国内でもダンスマニアやその他のダン ス・コンピレーションの会社名クレジットを辿っていくと、必ず1曲か2曲は、TIME関連の楽曲があるはず……というくらいです(因みにネット上で 、お下品なパロディ映像やFlashが話題になった『DRAGOSTER DIN TEI / O-ZONE』も、このレコード会社の傘下レーベルからの楽曲だそうです)。因みに最近では、そう言ったダンスポップ・アーティストがバイトのような形で ヴォーカリストを勤めているケースがあるとか……。
 最近では新人アーティストの発掘や育成にも力を入れているようで、そちらのほうもかなり注目です。

 近年の代表的アーティスト
 SYMBOL
 STYLOPHONES
 MR.M
 ROSE
 HELENA
 他

 ◆ BOOM BOOM BEAT (S.A.I.F.A.M.)

 BOOM BOOM BEATは、もともとASIA RECORDSというSAIFAMのユーロビート部門で、SUPER EUROBEAT(以降は全て、SEBと統一)以前に日本のユーロビート市場を(ほぼ)独占していた、THAT'S EUROBEAT(これはTHAT'Sで統一)というシリーズに楽曲を供給していました。THAT'Sシリーズは44くらいまでシリーズが続き、当時は世 界で類を見ないコンピレーション・シリーズでしたが、SEBの隆盛と共にその人気を落としていきました。因みにTHAT'Sの版元であったアルファレコー ドは倒産してしまったので、今ではおそらく、通常のショップでCDを手に入れることは非常に困難……かと思いますが、時々Yahoo!のオークション(何 故か馬鹿高い値段がついている)や、 中古CDショップ などで見る事も出来ます。
 THAT'S消滅(大体94年くらい。詳しい終了年月日は知らない)と共に、ASIA RECORDSはBOOM BOOM BEATと名前を変えて(とは言っても、ASIA RECORDS自体は潰れてはいません)、SEBの姉妹シリーズであるEUROBEAT FLASH(EBF)に楽曲提供することになり、未だSAIFAMのユーロビートは健在である、という事を見せ付けてくれました。しかし、EBF終了以 降、収録環境が悪くなったことによってか、また、SAIFAMがBBBの楽曲をビクターにも提供したこときっかけとなったのか、@社とSAIFAMの関係 は非常に悪くなり、両者の関係は決裂。以降、ビクターの「ダンスパニック! プレゼンツ・ユーロパニック!」(以降ユロパニ)をメインとした楽曲提供を続 けるようにな りました。
 因みに現在では、ユロパニも終焉を迎え、日本のインディーズレコード会社であるFARMの「VIP MEGA EURO STER」シリーズのみに提供していると言う感じで、収録環境が少ないので、あまり、聴 く機会は無いですね。
(注) SEB161から、このレーベルの楽曲もSEBに収録されることになりました。

 このレーベルもTIMEと同じく、母体となるレコード会社「SAIFAM」の大きさと歴史の長さがあります。他ジャンルの楽曲にも精力的――なんです が、何故か、非常にカヴァーやリメイクが多いのが特徴です。2000年にヒットした楽曲、RANBO / MISTER MAXのリメイク的に『CONGO』という楽曲を発表したり、また、『GUNFIRE』や『CHA CHA CHA CHA』等のリメイク楽曲が、結構人気を博しています。
 この傾向は他ジャンルの楽曲を出すレーベルでも変わらないようで(爆)、例えばボン・ジョヴィの楽曲をカヴァーしたり、70年代ダンスの名曲などもカ ヴァーしたりします。ある噂では、ヨーロッパでは「カヴァー曲のSAIFAM」とまで言われているとか。

 プロデューサーはマウロ・ファリーナとファクトリー・チームというプロデューサー・チームによって成り立っています。

 最近の楽曲の特徴としては、ドラが硬い事と、ベースが重いということが挙げられます。哀愁よりはコミカル路線、馬鹿系よりはややシリアスかな、というと ころです。

 近年の代表的なアーティスト
 MISTER MAX
 MARK FARINA
 MARK FOSTER
 KEN MARTIN
 VERONIKA
 ENERGY GIRLS
 他

 ◆ A-BEAT C (RODGERS & CONTINI)

 このレーベルは、デイヴ・ロジャース事ジャンカルロ・パスキーニが、TIMEやFLEA(SAIFAM)と袂を別ったときに、友人であるアルベルト・コ ンティニと共に興したレーベルで、日本人に は最も馴染み深いレーベルです。知らない方には、安室奈美恵のTRY MEや、Forder 5のWONDERLANDなどの、音楽プロデューサーといえばいいでしょうか。

 実はこのレーベル、現在のユーロビートの基礎を作ったと言っても過言ではないレーベルで、BPM150以上の高速志向や、エレキギター等を使ったロック テイスト等は、このレーベルが元々、最も得意としている(いた)手法です。マイケル・ジャクソンのツアー・ギタリストだったジェニファー・バッテンや、イ タリアで有名なバンド「ANGRA」のギタリストであるキコ・ルーレイロなどとコラボレイトする など、本職とのコラボレイションや、ロック・アーティストがバイ トで歌っていたり、ギターをやっていたりする事で有名です。因みにこのレーベルの持つスタジオはヨーロッパでも随一の設備を誇っていて、そのため良くロッ ク系のアーティストさんたちがレコーディングに来るとか……。

 プロデューサーさんは、先ほど名前の挙がったデイヴ・ロジャースと、その盟友であるアルベルト・コンティニ、そして、元々ジノ・カリアとのタッグを組ん でいたサンドロ・オリヴァさんの三人が、主なプロデューサーです。

 現在の音楽的志向は、主にコミカル路線と、他のレーベルには無いロックテイストでしょうか。あとは、最近ヌアージュのヒットにより流行している低速志向 も、このレーベルの大きな特徴です。あ、ついでに言うなら、平和系な楽曲も、考えたらこのレーベルが最初だったような気が……。

 近年の代表的なアーティスト
 DAVE RODGERS
 MEGA NRG MAN
 MATT LAND
 LOLITA
 NUAGE
 SUSY WENDER
 GO GO GIRLS
 他

 ◆ DELTA (DELTA)

 DELTA RECORDSは、それまでTIMEでメインのプロデューサとして活躍していたローラン・ゲルメティ・ニューフィールドと、同じくTIME で活躍し ていた女性シンガー/ライターであったチェリー事クララ・モローニ、そして、A-BEAT Cで活躍していたプロデューサのアンドレア・レオナルディ(ブラット・シンクレア)が、1995年にミラノの中華料理屋で話し合い、その結果生まれたレー ベルで、当初は「二大レーベル(TIMEとA-BEAT C)のいいところ取りをした最強レーベル!」として、もてはやされました。
 95年という、ユーロビート冬の時代に生まれたレーベルであるのに、いきなりレーベル第一号の楽曲「MONEY GO!/MARKO POLO」をフロアでヒットさせ、レーベルのポテンシャルの高さを見せ付けてくれました。
 そして、このレーベルを語る際に忘れてはいけないのが、第三次パラパラブームを巻き起こした楽曲「NIGHT OF FIRE / NIKO」の大ヒットと、アニメ「頭文字D」のテーマソングとなった「NO ONE SLEEP IN TOKYO / EDO BOYS」等の大ヒットでしょう。これらの楽曲は、普段ユーロを聴かない人に対しても、そのハートをがっちりとつかんでくれました。

 現在のレーベルの楽曲志向は、低速、高速両対応である事と、キンキンの高音シンセサイザー路線、そして「涙がほろり」程度の哀愁路線――と言ったところ でしょうか。あと、最近の傾向で絶対に忘れてはならないのが、「RIGHT NOW / DARK ANGELS」や「GOING CRAZY / QUEEN 26」「EMOTIONS / STEPHY MARTINI」等の、脱ユーロビート路線といったところでしょうか。個人的にはあまり、歓迎したくない傾向ではあるのですが……。

 現在の主なプロデューサーさんは、先ほど名前の出たローラン・G・ニューフィールドとブラット・シンクレア、そして、LIVE MUSICからSAIFAMと経て、DELTAにやってきた(現在活動休止中……)の、R.GABRIELLI氏の三人です。個人的に一番好きな GABRIELLI氏は、ここ数年では「SEX CLIME / ODA」や「Hai Hai Hai(Dance Across The Nations) / MARKO POLO」「TSUNAMI COMES / MAD MAX」等の楽曲プロデュースをやっており、かなりマニアの間で、ファンの多い人です。
 
 近年の代表的アーティスト
 NIKO
 KEVIN JOHNSON
 MARKO POLO
 CHERRY
 ODA
 DELTA QWEENS
 STEPHY MARTINI
 他

 ◆ HI-NRG ATTACK(LIVE MUSIC STUDIO)

 HI-NRG ATTACKの前身であるLive Musicは、元々80年代からあったレーベルで、クラウディオ・アカティノとフェデリコ・リモンティの二人の手によって興されたレーベルです。当初の彼 らは、イタリアン・ダンスポップやロック、ディスコなどでバンドとして活動をしていました。
 彼らが有名となったきっかけは、ASIA(BBBの項参照)から出た、「BOOM BOOM DALLER」という楽曲で、この非常にキャッチーで、日本人に極めて親しみやすい楽曲は、日本を中心に大ヒットしました。ゲーム「ダンスダンスレボ リューション」にリミックスが収録されたので、結構知っている方も多いかも知れません。
 また、日本人アーティストへの楽曲提供も、結構盛んに行っており、STOP THE MUSIC / 安室奈美恵や GET MY LIVE / MAX等の楽曲プロデュースもやっていました。最近の楽曲で有名なのは、アニメ「いちご100%」のEDテーマである『IKE IKE』ですね。
 あと、日本人サッカー選手の非公式応援ソングみたいなものも作ったりしています(サッカーソング自体は何処のレーベルでも結構あるのですが、選手の個人 名をタイトルにするのはこのレーベル)。「GO NAKATA」や「MOTTO-MOTTO INAMOTO」などがあります。
 Live Musicが独立したレーベルとなって活動をはじめたのは、94年の頃です。結構この点誤解されがちなのですが、このレーベルは実は、DELTAより独立 が早かったんですね。

 このレーベル、最近A-BEAT Cがやっている「二世路線」を最初にやったレーベルでもあります。世界でも例の無い、本格のヴォーカリストとして9歳(!)の女の子を起用する(クラウ ディオ・アカティノの娘グレタ=ベイビー・バズーカ)という離れ業をやってのけました。

 レーベルの特徴としては、とにかくパラリスト優先! 極めて重い音を基調にして、突き抜けたコミカル路線や、アグレッシヴさにかけては、このレーベルに 敵うところはありません。最近ではロシアがちょっと、このレーベルの中でブームになっているようで、コサックダンスの楽曲をモチーフにした「I WANT YOUR BALALAIKA」や「RASPUTIN, PASTERNAK AND MOTOROV」等という楽曲を作ったりしています。

 近年の代表的アーティスト
 FRANZ TORNADO
 BAZOOKA GIRL
 TAM ARROW
 GARGON
 BABY BAZOOKA
 TRI-STRA
 他

 ◆ VIBRATION (LED Records)(サイト削除?)

 このレーベルはLED RECORDSという、イタリアの中堅レコード会社の傘下にあるレーベルです。LED自体は、元々イタロハウスを主に出版していたレーベルだったのです が、しかし、そのブームが下火になり、経営戦略として@社とユーロビートの供給で契約を結ぼうと言う事になりました。しかし@社が、 『実力のあるライターとプロデューサーを集めることが条件』としたので、ユーロビートを作れる作家の居なかったLEDは、ユーロを作れる作家を探す事から はじめたのです。

 そこでLEDは、96年にジノ・カリアとその一派をTIMEから引き抜く事になり、そうして興されたのが、VIBRATION(以下VIB)というレー ベルです。
 このレーベルは発足当初、それまでに存在しなかった「さわやか系」の楽曲を多数リリースしました。HEY HEY BABY CRY / DEE DEEなどの、前奏からアウトロまで、まるで春風の吹くようなさわやかさを備えた楽曲で、一躍人気レーベルの地位を獲得し、順風満帆……と行きたかったの です が、しかしここから、VIBの受難は始まりました。
 まず、主力メンバーの中でも、かなりの実力を持っていたカスターニャが、トラブルにより離脱。これによってVIBは、戦力の相当数を失う事になってしま いました。
 そして97年には、ライター、プロデューサー、ヴォーカリストであったジノ・カリアが、癌のため他界。
 残ったDAVIDE DI MARCANTONIOも98年にTIMEに引き抜かれ、レーベルには誰も居なくなってしまいました。
 しかし、DI MARCANTONIOは99年にTIMEとの一年契約を終えると、Energy Revolutionというレーベルを興し、ユーロパニックに「KING OF FIRE」という楽曲を提供。この楽曲が大ヒットし、それを手土産にし、再びVIBに戻ってきました。

 こう言った、非常に紆余曲折のあるレーベルですが、最近では他のレーベルには無い、原点にあるようなアグレッシヴ系の楽曲によって、非常に(隠れ)ファ ンの多いレーベルになりました。

 現在のプロデューサーさんは、LEDのオーナーであるLuigi Stangaさんと、メインプロデューサーのDavide Di Marcantonioさんの二人で成り立っています。因みにDimaさんは、いろんな名義でヴォーカリストも勤めています。

 現在の楽曲の特徴は、動きの多いシンセサイザー遣いと、洗練された哀愁路線で人気を博しています。また、男性ヴォーカルの男臭さも、人気の一つでしょう か。
 161からは、SEBに収録する分の楽曲が無くなるそうで、個人的には少々寂しいです……。

 近年の代表的アーティスト
 DEE DEE
 JIMMY BRAVO
 J.RUSH
 QWEEN REGINA
 BETTY BLUE
 ELISA
 他

 ◆ SCP(SCP-Music

 SCPとは Stephano Castagna Production の略で、文字通りステファノ・カスターニャさんと言う方の作ったレーベルです。頭文字を取ってSCP。解りやすいですね。
 先のVIBの項でも触れたように、TIMEやVIBなどで活躍していたカスターニャ氏が、トラブルによってVIBRATIONを離脱して後、 Rodgers & Contini(A-BEAT C)傘下のDOUBLEというレーベルを、そのままカスターニャ氏が買い取って発足しました。

 このレーベルがちょっと他とは違うのは、楽曲の全ての権利を、@社が買い取っている、という事です。だから、このレーベルの(P)欄には、AVEX INC.とつけられています。

 このレーベルの楽曲的特長は、基本的にはオールマイティーに何でも作るようです。哀愁路線、シリアス/アグレッシヴ、コミカル路線、平和系、低速高速両 対応、さわやか系の楽曲などなど……。
 あと、忘れてはならないのが、このレーベルのアーティストは、実在するアーティストが多めとなっています。下記に記したアーティストは、ほぼ全員が実在 するアーティストです。
 
 近年の代表的アーティスト
 FASTWAY(DUSTY)
 ACE
 LISA LION
 CHRISTINE
 VAN T.K.
 NICK MANSELL
 PAMSY
 他


 和製ユーロとJ-EURO について

 上に7つのレーベルについて、いろいろと書いていきましたが、これ以外のユーロビートレーベルというのも、確かに存在します。
 有名なのは、VIBRATIONがユロパニに曲提供する際に作ったENERGY REVORUTIONや、DELTAのスタッフが離脱して作ったHI-SITEなどがありますが、これ以外にも、なんと『日本産ユーロビート』なる、恐る べき存在も確かに存在するのです。
 有名どころでは、CAPTER ONEというレーベルの興した『EURO』シリーズというCDがあります。また、ユーロビートのご本家と言われるSEBも、初期 (10番代)の頃は収録曲が足りず、@社がAlphabet Recordsというレーベルを興して、楽曲を作っていました。因みにそういった系統の楽曲で、『FIRE DISIRE / LESLIE feat.RICK WILD』という楽曲に至っては、あの松浦社長の名前が、製作者欄にあったりします。
 こう言った楽曲のことを、ここでは『和製ユーロビート』という風に定義します。
 和製ユーロビートの主な特徴は、その名前の通り『和製』――つまり、純日本産の楽曲で、作っている人も歌っている人も全員日本人(一部例外あり)だと言 う事です。
 楽曲的にどこか勘違いしている構成のものが多く、大概の場合、聞いてもまず乗れません(笑)。最近では少しずつ、クオリティも上がっているようには見え るのですが、どちらかと言えば、CDとして出版されるものより、ネット上で発表されているやつのほうが質が高いようにすら見えます。

 さて、先ほど「和製」ユーロビートという風に書きましたが、日本人がユーロビートをカヴァーするという状況や、或いは日本でポップスやダンスポップとし て作られた楽曲が、イタリアの制作陣によってリミックス※3されたり、カヴァーされたり、というケースも結構あります。
 こう言ったもののことを、ここでは「J-EURO」と定義します。
 最近の楽曲では、「WONDERLAND / Forder 5」(TVアニメ「ワンピース」のOPテーマだった楽曲)や「IKE IKE / HINOMI TEAM」(TVアニメ「いちご100%」のEDテーマ)などがあります。少し古いところで言えば、「TAKE ME HIGHER / V6」(特撮ドラマ「ウルトラマンティガ」のOPテーマ)などがありますね。また、安室奈美恵やMAXなどは、初期の頃は、こう言ったユーロビートのカ ヴァーばっかりやっていました。
 そして、イタリアの制作陣によってリミックスされたりカヴァーされたりする、日本のJ-POPというのもあり、こちらも「J-EURO」として扱われる 事もあります。
 こう言った楽曲は、元々のクオリティの高さに加えて、さらに様々な味付けが加えられ、イタリアの制作陣が作った本場のものより、クオリティが高いものに なっていることもしばしばです。
 個人的な好みで言うなら、FACE THE CHANCE / ELTを、TIMEのセルジオ・ダローラがリミックスした「EUROBEAT REMIX」は、極めて質が高くてGoodです。

 初心者が聞き違いやすいジャ ンル

 世間一般では(というより、ユーロビート初心者には)誤解しやすいと思われる、比較的ユーロビートと似たジャンルの楽曲についてお話します。

 ◆ハッピー・ハードコア (Happy Hardcore)
 この手の楽曲は95年くらいからあったようで、その当時から世界各地でひそかに愛好者の多いジャンルだったのですが、東芝EMIから出版されたコンピ レーションシリーズである「Dancemania SPEED」シリーズによって、一躍日本のダンスシーンでは、メジャーなジャンルとして定着することになりました。
 元々ジュリアナなどで流行していた、所謂ハードコアテクノの進化形と言われています。
 この手の楽曲の特徴は、とにかく早いことです。BPMにして170〜200(4分打ち16ビート)という、少々考えられないような速さがあります。無 論、ピッチコントローラー※ 4を使わずに、です。
 また、カヴァー曲が多いのも、このジャンルの特徴です。クラシックから最新ヒット、果てはアニソンまでと、かなり融通無碍にカヴァーしています。中には 大爆笑な楽曲も沢山あったり……。
 因みにユーロビート的なテイストを盛り込んだ楽曲も多く、特に歌モノ・オリジナル系では、ユーロビートの影響受けまくりな楽曲も珍しくありません。

 ◆ トランス (Trance)
 日本では『トランス』と一括りにされ易いジャンルなのですが、『ゴア・トランス』『ダッチ・トランス』『ハード・ハウス』『ハード・ダンス』『サイケデ リック・トランス』『エピック・トランス』『ポップ・トランス』などなど、数え切れないほどの多様性があります。
 歴史としては、90年代初頭からインド(!)のゴアで、ハウスやテクノ、ブレイクビーツなどを混ぜたような楽曲が出てきました。これに目をつけた欧米の アーティストたちが、こぞって独自解釈の元で楽曲を作り始め、98年に大ヒットした『OUT OF THE BLUE / SYSTEM F』によって、一般に知れ渡るようになり、そして現在に至る……と言うところになるんでしょうか。
 因みに時々聞かれる『サイバートランス』というのは、@社の出したコンピレーションシリーズもしくは、六本木ヴェルファーレのトランス・イヴェントで、 主にダッチトランスやハードハウス、エピックトランスなどのジャンルがかかります。そのため、日本の中途半端にかじっただけのファンの間では、そう言った ジャンルが、サイ バートラン スとして、一括りにされる事もあります。
 特徴としては、BPM145(同じく4分打ち16ビート)程度の、ユーロビートに比べるとやや緩やかなメロディと、同じフレーズを何度もリフレインさせ ることが特徴です。この手の楽 曲を被験者に聞かせて脳波を取ってみると、一種の興奮状態に陥る、という実験結果が報告されていることから、医学的にも乗りやすい楽曲として知られていま す。
 歌モノ系――特に日本産のものには、例えばmoveの一連の楽曲や、『そこにあるかもしれない…/吉宗サウンドトラック』(パチスロ『吉宗』の姫様 ビッグ)などのように、そのままユーロビートのようなヴォーカルを乗せていることがあり、初心者の方がヴォーカルものを手にとると、少々解りづらいところ がある……と思います。

 因みにどちらのジャンルでも、この手の音楽で踊るパーティーのことを『レイヴ』というのは、やはり双方共に、90年代初頭のレイヴ・ムーブメントが(歴 史の中に)あるから、というところなんでしょうか……。


 さて、ブログに書いていたのは上記二つのジャンルについてだったのですが、実は一番、初心者が聞き間違いやすいジャンルについて、書くのを忘れていまし た(^^A。
 この手のジャンルの楽曲を、どう言う風に表現していいのかが少々解らなかった、というところもありますが、とりあえずは下記を読んでいただければ解るか と思います。

 ◆ユーロダンス、ユーロ(ダンス)ポップ、ユーログルーヴ (Eurodance Euro-Pop EuroGroove)
 様々なジャンル名で呼ばれますが、実は殆ど変わりないと思って、差し支えないと思います。
 元々はイタロハウスの進化形のような形のジャンルで、代表的なアーティストで言うなら、カペラやE-ROTIC、CAPTAIN JACK、メンバーチェンジ後の2 UNLIMITEDなどがいます。
 ユーロビートとの違いは、こちらにはAメロとかBメロとか言う概念が希薄です。前奏>イントロから男性ラップに入り、そのまま女性のサビ、という構成が かなり 多くなっています。
 また、BPMもユーロビートに比べるとやや低めで、150未満(4分打ち16ビート)というのがスタンダードのようです。

 因みにこの中で「ユーログルーヴ」というのは、日本のプロデューサー小室哲也氏が、TRFの次に興した外国人ユニットの名前が語源です。


 参考サイト

 SUPER EUROBEAT オフィシャルサイト
 NRGXpress
 Dance Groove

 その他諸々の文献と資料。

 注釈の解説

 ※1 BPM……ビート・パー・ミニッツの略。一分間にどれだけのビート(拍子)を打つか、と言う事。音楽の速さを表すのに 使われる。

 ※2 レーベル……レコード会社の傘下にある、制作集団の単位。会社組織となっていることも多く見られ、また、レコード会社自体を、広義の意味で「レー ベル」という事もある。基本的にはレーベルごとに、取り組んでいるジャンルが違う事が多い。因みに、ライトノベルで「レーベル」と言う言葉が使われるよう になったのも、おそらくはここからの語源。

 ※3 リミックス……再編曲。オリジナルバージョンとは全く違う曲調に変えたり、違う楽曲のメロディやシャウトなどを乗せたりする。通常、CDなどに収 録される場合は「DRAGOSTEA DIN TEI(EUROBEAT REMIX)/O-ZONE」のような形で、ジャンル名をリミックス名に当てたり、また、「TSUNAMI COMES(RED MONSTER MIX) / MAD MAX」のように、リミックスしたチーム名、個人名を注釈として書いている。

 ※4 ピッチコントローラー……DJ機材(ターンテーブル)についている。曲の速さをコントロールする装置。アナログ(レコード)の場合は、±8〜10 に調整できるものが主だが、デジタル(CD) の場合は±50まで調整できる機材もある。



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